オーストラリアのイルカ保護に対する基準
イルカ・クジラを見るためのルール
近頃は、イルカやクジラを船の上から見たり、また一緒に泳ぐなど、 野生イルカやクジラを実際に観察できる機会が増えてきました。
このような機会を利用して野生動物を見ることは、私達に自然の 素晴らしさを教えてくれます。
と同時に、私達から野生動物に与える影響もあります。
いつまでも、人間と野生動物たちが良い環境で暮らせるように、野生動物たちに 対して気をつけることがいくつかあります。
オーストラリアの『イルカ・クジラを観察する際のルール』をご紹介します。
どうしてガイドラインが必要なの?
私達がイルカやクジラを観察する時に、動物達の生活を邪魔したり、 環境を変えてしまわないように気をつける事は大切です。
イルカやクジラを守り野生環境を維持することは、私達にとっても、 質の良い野生本来の姿を観察する機会を与えてくれます。
このガイドラインには、2つの大きな目的があります。ガイドラインの目的は?
- イルカやクジラに与える影響を少なくし、野生本来の行動や、習性などを保つ。
- 私達が、野生のイルカやクジラの観察を通して、楽しく学習できる機会を得る。
『人から近づく』のと、『イルカから近づく』の大きな違い
人がイルカに近寄っていく場合と、イルカが人に近寄っていく場合には、大きな違いがあります。 船や人がイルカの近くにいる場合、イルカとの距離が変わらなければ、 イルカは私達が観察しているのを楽しんでいるということです。
逆に、こちらから近づいていっても、いっこうに距離が縮まらないという場合は、 イルカが私達から逃げているということです。
これは、イルカが遊ぶのを嫌がっていると いう意味ですので、そっとしておきましょう。
ガイドラインの例外は?
研究や教育の理由による、ガイドラインの例外があります。
イルカが座礁したり、網に引っかかったりした時にも、ガイドラインの例外になります。
イルカやクジラが遊びたくないと見分けるのは難しいですが、嫌がっているときは行動を変えたり、船より遅く走ったりする事があります。イルカやクジラが嫌がっているのを、どうやって見分けるの?
- 船の側から離れた場合
- 泳ぐスピードや、方向などを変えた時
- 頻繁に潜ってしまう時
- 息継ぎのパターンを変えた時
- 海面に出ているときより、潜っている時間のほうが長い時
- 海面で尾びれを叩きつけたりする時
- 音(声)の出し方が変わった時
上にあげたように、短時間の行動の変化はイルカ達にとって大きな影響を与えている事がわかりますが、それだけではなく長期間にかけて少しずつ変化している行動も大きな影響を与えているかもしれません。私達が、イルカやクジラの邪魔をすると、どうなるの?
- 餌場である大切な場所を移動させてしまう
- 餌を食べているところを中断させてしまう
- 仲間同士の社会的ふるまいなどを中断させてしまう
- イルカにとって子育てに適した場所の放棄
- 人間の活動区域を避けるため、通常の移動経路を変えてしまう
- ストレス
- 怪我
- 死亡数の増加
船が海に出ることで、騒音や、汚染、ケガなどの原因になることがあります。 またイルカの群れを船が囲んでしまうと、イルカが海面に出てくるのを妨げることになってしまいます。 船でイルカやクジラに近づく時は、注意しながら運転をすることで、イルカやクジラへの被害を少なくする 事が出来ます。船で観察する時のルール
- ジェットスキーやパラセイリング、その他のクラフト系の乗り物では、 イルカやクジラに近づく事は禁止されています。 万が一、クジラの近くにいると分かった場合は、スピードを落としてゆっくりと300メートル以上 離れるようにします。
- サーフィンをしている人は、安全面から30メートル以内に近づく事は禁止されています。
その他の船(モーターボート、セイリングボート、パドルを使うボート)の場合は、次のようなルールがあります。
- 『警戒ゾーン』 クジラの場合は半径300m、イルカの場合は半径150mです。
このゾーンの中で移動する時は、一定の速度でゆっくりと移動します。 - 『アプローチリミット』
イルカやクジラに近づける、限界の距離です。クジラは100m、イルカは50mと決められており、これ以上近づく事は禁止されています。 - 船が風などで『アプローチリミット』内に流される事は許可されています。
- イルカやクジラが嫌がっているような行動を見せた時には、ゆっくりとした一定の速度で『警戒ゾーン』から出なければいけません。
- 子供や妊娠中のイルカがいる群れを見つけた場合は、『警戒ゾーン』にも入っていはいけません。もし誤って入ってしまった場合は、静かに離れます。
- 『警戒ゾーン』に入るときには、可能であれば船長以外にも見張りの人を配置して、みんなで注意するようにします。
- 近づく時は、真後ろや正面から近づかないようにしましょう。
- 『警戒ゾーン』の外側でイルカ・クジラの進路を邪魔しないようにし、イルカ・クジラから近づいてくるのを待ちましょう。
- 船をイルカ・クジラの風下に位置するようにします。そうすると、エンジンの煙がイルカ・クジラの方に流れるのを防ぐ事ができます。
- イルカ・クジラを観察する時は、ギアをニュートラルにして音を小さくしたり、またエンジンを止める時は、しばらくニュートラルのままエンジンを空転させてからエンジンを切ります。 突然エンジンを切ると急に音が止まるので、イルカやクジラが驚いてしまいます。
- 過剰にエンジンを使ったり、ギアチェンジ、旋回、バックするのを避けるようにします。
- 『警戒ゾーン』に同時に3隻以上の船が入らないようにしましょう。
- 一隻以上の船が、イルカやクジラを観察している時は、お互いの船どうし連絡を取りながら、動物を囲ったり、進路をさえぎったり、妨げたりしないように気をつけ、動物のための進路を大きく開けておきます。
- 追いかけたり、群れの中に入らないようにしましょう。
- 離れる時には、『警戒ゾーン』を出るまではスピードをあげずに、ゆっくりとしたスピードで離れます。『アプローチリミット』内に入るときは、なるべくプロペラを使わないようにし、どうしても使わないといけない時は、十分注意しましょう。
- もしクジラの方から近づいてきた時は、エンジンをニュートラルにしてその場で待ち、クジラからこちらへ来てもらうようにしましょう。
- イルカが船の先について泳ぎだしたら、急にスピードや向きを変えたりしない。 『警戒ゾーン』では、スピードを出してイルカを誘ったりしてはいけません。
- 船の管理をきちんと行い、オイルもれがないか? エンジン音が通常より大きすぎないか? 煙が出すぎていないか?などに注意しましょう。
![]() |
![]() |
|---|
飛行機の影や音が影響する事もあるので、いくつか注意する事があります。飛行機(エアークラフト)で観察する時のルール
- 300m以下の飛行、正面からの飛行、また着水は禁止されています。
- クジラやイルカが突然潜ってしまうなど、避けているようなら、すぐに観察を止めます。
- クジラやイルカを観察用ではない移動用のヘリコプターは、1000m以上離れ、真上を飛んではいけません。
陸からの観察は、イルカやクジラに与える影響が最も少なく、また陸からでも観察できる場所はあります。陸から観察する時のルール
- イルカやクジラがみられる場所には、それぞれ注意書きがあるので、その注意に従います。岸壁の縁など、足場の悪いところもあるので気をつけましょう。
- 植物などにダメージを与えたり、ゴミを捨てたりしないようにしましょう。
餌を与えてよいのは、政府の許可を得ている所だけですので、許可がない所では餌をあげたり、食べ物を海に投げ捨てたりしてはいけません。餌をあげる時のルール
- Feeding Program の認可を得ている以下の所だけが、餌を与える事ができます。これらの場所で餌を与える時は、係員の管理のもと行なわれます。
1.モンキーマイア
2.タンガルーマ
3.バンバリー - 他の場所を、Feeding Programに参加するには、多くの調査をし、イルカに与える影響などを予測し、条件に満たされた場所のみ、プログラムに参加する事が出来ます。
- クイーンズランド州の Tin Can Bay は、餌を与えるなどの交流を行なっているが、これはクイーンズランド州の機関によって監視されています。
- これらのプログラムに参加している所は、餌を与えるのと同時に、その影響も調査していかなければいけません。
タッチングに関するルール
- イルカやクジラに触るということは、人と動物の両者にとって、伝染病や病気などのリスクがあります。もしイルカやクジラが近くに来ても、触ったり、急に動いて驚かせたりしないようにしましょう。
イルカは、音で仲間同士コミュニケーションを取ったり、餌を探したり、場所を認識したりするので、音はとても重要な役割を持っています。人が作り出す音が、その大切な音を掻き消してしまったり、イルカやクジラの聴覚にダメージを与えたりする事があります。音に関するルール
- イルカやクジラの前では、大きな音を出さないように刷る。
- 海の中で、録画した海中の音などを再生してはいけません。
- 水中マイクを使って、海中の音やイルカやクジラの声を聞くことは、教育のためにもとてもよいことです。
泳ぐ時のルール
- 泳ぐことは、イルカと人の両者にとってリスクがあります。
新しい場所で、スイムを始める時や、既に行なわれているスイムツアーを拡大する際には、まずイルカに与える影響などを調べなくてはいけません。 - スイムツアーでは継続してイルカの行動や変化を記録します。これにより、イルカや人への影響を調査する事が出来ます。
- 泳いでいる人は、30m以内に近寄っていはいけません。
- 子供イルカ、子供を含む群れ、妊娠中のイルカがいる群れとは泳いではいけません。
- もしイルカから近寄ってきたり、近くを通り過ぎようとしている場合は、驚かさないようにゆっくりとした動作をするようにする。
- 野生なので近くによるのは危険が伴います。触ったり、イルカに向かって泳いだりしてはいけません。
- 水中スクーターなどを使って泳ぐ場合にはライセンスが必要になり、船と同じ距離までしか近づく事は出来ません。
- イルカスイムの船は、イルカの100m以内に入ってはいけません。
- 泳ぐ人は、イルカの進路の先に行かないようにしましょう。
- 驚かさないために、海に入る時はそっと入り静かに水の中で行動するようにします。
- 30m以内にはは入らないようにしましょう。
- イルカが嫌そうな行動を見せた時は、海から出るようにしましょう。
- 人がつかまるためのロープを海中で使う場合は、イルカの邪魔にならないように進行方向などに気をつけ、長さは50m以下にします。
- 続けて同じ群れと泳ぐのは避けるようにし、イルカが嫌がっているようなら、泳ぐのをやめましょう。
- スキューバーやスヌーカーを使って泳ぐ事は禁止されています。


